
ソニーは、2025年11月19日(水)から21日(金)の3日間、幕張メッセにて開催された国内最大級のメディア総合イベント「Inter BEE 2025」に出展いたしました。
今年のソニーのブーステーマ「Creativity Connected ともに“つなぐ” コンテンツ制作の未来へ」 のもと、映像・音・通信のプロフェッショナルが集うこの場所で、当社の空間コンテンツ制作ソリューション群「XYN™(ジン)」の可能性を多くの来場者に体験していただくことが出来ました。
バーチャルプロダクションからイマーシブ体験まで、映像制作のワークフローに新たな選択肢を提示する3つの主要展示について、会場の様子とともにレポートします。
展示ブースのご紹介
XYN 空間キャプチャーソリューション|撮影地の様々な制約を超えて新たな可能性を開く
最初にご紹介するのは、現実の物体や空間を効率的に高品質な3DCGアセットへと変換する「XYN 空間キャプチャーソリューション」(開発中)です。

高品質な3Dデジタルアセットの作例紹介とシミュレーションデモ
ブースでは、バーチャルプロダクション向けに生成した背景アセットを、LEDディスプレイの代替としてモニターを使用し展示しました。
ここで題材としたのは、渋谷ビル屋上からの街並み、姫路城、そして首都圏外郭放水路(防災地下神殿)といった、観光地や撮影制約のあるロケーションです。実際には、生成した背景を映したLEDの前に役者が立って撮影を行うことを想定しますが、デモではカメラトラッキングを模した制御システムと連動させ、カメラワークに合わせて背景がリアルタイムに変化する様子をご覧いただきました。
アクセスの限られる撮影希望場所を3DCGアセット化し、コストと時間を大幅に削減
私たちがこのソリューションで提案したい価値は、「映像制作ワークフローの効率化」です。
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映像制作の効率化: 現地ロケが容易ではない場所の背景を3DCGアセット化することで、いつでもスタジオでの撮影可能になります。これにより、映像制作の効率化とコスト削減に寄与します。
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スタジオセットのデジタルアーカイブ化: 撮影が終わると解体してしまうスタジオセットや定期的に何度も組み直しが必要な番組セットのデジタル化を手軽に行えることで、大道具の保管コストの削減や、セットアップの時間を短縮しスタジオの稼働率の向上が見込めます。
来場者の方々からは、バーチャルプロダクション用途だけでなく、文化財のデジタルアーカイブやインフラ設備の保守メンテナンスなどへの活用についても、具体的なご相談や関心を寄せていただきました。
75インチ 空間再現ディスプレイ|立体映像から"気配”さえ感じてしまう、まさに"脳で見る感覚”
次世代の視聴体験として注目を集めたのが、参考出展の「大型75インチ 空間再現ディスプレイ」です。
大画面8Kの裸眼3Dディスプレイで実現する高精細映像の視聴体験デモ
製品版(27インチ4K)を大型化し、8Kパネルを採用することで、裸眼でのイマーシブ(没入)映像体験を実現しました。
デモコンテンツには、撮影監督の会田正裕氏がソニーのVENICEエクステンションシステムミニ2台を用いてステレオ撮影した新作『Landry』を初披露しました。75インチの大画面ならではの迫力ある立体映像体験を提供し、作品の持つ繊細な色彩や奥行き、3Dコンテンツでの豊かな表現力を体感いただきました。
「脳で見る」体験がプロモーションと制作を変える
XRヘッドセット類の普及や、イマーシブ体験施設の増加など、空間コンテンツへの需要や関心が高まる中、本機は従来の3Dコンテンツ視聴と一線を画す上質な3D体験の提供とそれを創り出す制作環境へのサポートという点において、新しい価値を提供します。
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高精細な表現力: 撮影カメラと出力モニターの双方での奥行きの分解能が向上しました。「切り取られた空間が目の前に出現し、気配さえ感じる」と会田監督に評されるほどの質感を再現しています。
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プレビューやプロモーション用途での活用: ディスプレイに搭載の視線認識センサーで画面の前に立つ一人を的確に認識し、視聴者はかわるがわるリッチな空間コンテンツを体験できます。また特別なゴーグルを装着する必要がないため、体験者間でシームレスに共有することが可能です。

空間再現ディスプレイ ELF-SR2|高品位な裸眼立体視モニタリングで制作ワークフローを効率化
3つ目は、ステレオコンテンツ制作の現場ですぐに活用できる「空間再現ディスプレイ 27インチ(ELF-SR2)」です。

撮影現場でのリアルタイム・ステレオモニタリング
ブースでは、2台のVENICEエクステンションシステムMiniからの右目用・左目用の2本のライブ映像をサイドバイサイドでSRDに入力し、リアルタイムで立体視を確認できるデモを行い、クロストークの少なさや正確な奥行再現といった立体映像の高精細さをご確認いただきました。
ヘッドセット不要で手間なく、正確なフィードバックで3D映像制作を支援
ステレオ(3D)撮影現場において即座に違和感なく立体視を確認できることで、撮影ワークフローの効率化と、制作ハードルを下げ品位の向上を期待できます。またライブモニタリングに加え、ポストプロダクションでの深度グレーディング編集での活用やVFXコンポジット作業での活用も想定しています。
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その場でのスムーズな合意形成: 撮影スタッフや監督が、VRヘッドセットを装着せずに、裸眼で手軽かつ正確に立体感を確認できます。
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クオリティ向上: その場でズレや違和感を修正できるため、後編集の手戻りを減らし、より自然な映像制作が可能になります。クリエイターの意図通りのフォーカスや表現を、視聴者に確実に届けるための支援ツールとなります。
空間コンテンツクリエイターの新たなブレイクスルーを支援するために
今回のInter BEE 2025では、多くの映像プロフェッショナルの皆様と意見交換を行うことができました。
「XYN」ソリューション群は、単なる技術展示にとどまらず、バーチャルプロダクション向けロケ撮影やスタジオセット運用の効率化、3D制作現場でのモニタリング環境の向上、そして最終的な視聴体験の広がりへの貢献まで、ワークフロー全体に新たな顧客価値を提供します。私たちはこれからも、技術の力でクリエイターの皆様の表現の幅を広げ、映像業界のさらなる挑戦を支援し続けてまいります。
■開催概要
Inter BEE 2025
会期: 2025年11月19日(水)~21日(金)
会場: 幕張メッセ
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