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mocopiプロフェッショナルモードで進化する
白組の次世代ワークフロー

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白組 VFX スーパーバイザー/CGアーティストの植木孝行氏、VFXアーティストの佐藤昭一郎氏と
ソニー mocopiプロダクトマネージャー 南翔太

白組はソニーのモバイルモーションキャプチャー「mocopi®」のプロフェッショナルモードを導入し、VFX映像制作におけるプリビジュアライゼーションのワークフローを革新。映像制作のフロー効率化を実現しました。今回はVFX スーパーバイザー/CGアーティストの植木孝行氏とVFXアーティストの佐藤昭一郎氏にmocopiの活用方法についてお話をお伺いしました。

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白組が直面していた制作課題

白組は長年にわたり、映画、CM、ゲーム、アニメーションなど幅広い分野で先進的な映像制作を担ってきました。現場に共通する課題は「演出意図を制作チーム全体でいかにスムーズに共有できるか」です。そのため、監督が書いた絵コンテを動画にするプリビジュアライゼーション(事前映像化、以下プリビズ)を行います。台本や絵コンテだけでは伝えきれないニュアンスや感情表現をいかにわかりやすく可視化し、スタッフや役者とイメージを共有するかがチャレンジとなっていました。

具体的にプリビズではCG上でセットを再現しカメラワークやCGキャラクターの見え方などを確認します。その際、CGキャラクターにモーションキャプチャーで人の動きをつけることでより現実感が増し撮影現場に近い状況をシミュレーションできます。このプロセスは今後の進め方や必要機材(クレーンやドローンなど)を検討するのにも役に立ちます。

以前はプリビズで、スーツ型のモーションキャプチャーシステムや複数のビデオカメラを使うシステムを使用していました。しかし、機材の設置にはモーションキャプチャー専用のスペースが必要で、段取りや当日のセットアップにも時間がかかるため気軽にモーションキャプチャーを行うことは難しく現場では新しい解決策が模索されていました。

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モーションキャプチャーがもっと身近に

そこで白組が採用したのが「mocopiプロフェッショナルモード」です。従来の軽量・小型という手軽さを維持しながら、6点のセンサーで計測するmocopiに追加センサー(計12点)が加わり表現力が大幅に向上しています。

mocopiを導入することでモーションキャプチャー用の専用スペースを確保しなくても、会議室やデスク周辺などの限られたスペースでモーションキャプチャーを実施できるようになりました。装着を含めたセットアップも容易になったことで、クリエイターが思い立った時にすぐモーションを収録できます。さらに、頭の中にあった動きがモーションデータによって具現化されることで想定していた動きと画面上で見た動きとの差異を事前に確認できます。例えば「もっとタメが必要だった」といった細かな修正点も早期に把握でき、気軽に何度もテイクを重ね試行錯誤できるようになりました。



映像制作の全体効率向上

以前はモーションキャプチャーの敷居が高かったため、手付けするほどでもない人物の歩行シーンは人形がチェスの駒を一歩ずつ動かすような単調で簡単な動きのみに留めていました。また、アクションシーンなどの重要なシーンはしっかりプリビズでカバーしていたのに対し、会話シーンなどの分かりやすいシーンは絵のみを当て動画化は省略をしていました。しかし、mocopi導入により手軽に人の動きを付けられるようになったため、より多くのシーンを動画化できるようになりました。その結果、必要な準備内容に気づくことができたり役者への演技指示も伝えやすくなったほか、全体の工数削減と制作効率の向上にもつながっています。

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これらの成果は、白組が長年培ってきた映像制作のノウハウと融合し独自のクリエイティブスタイルをさらに強化するものとなっています。


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“プリビズで山崎監督の意図をすぐに反映できるのは大きな強み。
ちょっとした演出変更にもその場で対応でき、チーム全体の理解が一気に深まります。”

— 白組 VFX スーパーバイザー/CGアーティスト 植木 孝行氏

shirogumi_06“12点のセンサーと接続した際の精度には驚きました。
単純な動きでもリアルに表現できるので、役者さんに演技の意図を伝えやすくなりました。
白組 VFXアーティスト 佐藤 昭一郎氏

 

これからの展望

今回白組はmocopiの導入によってプリビズの適用範囲が大きく拡充され表現精度も向上しました。今後もソフトウェアやハードウェアを含むツール群の進化により制作現場で実現できることの幅がさらに広がっていくと期待されています。これによりクリエイターは、付随的な作業から解放されより本質的でクリエイティブな工程に専念できるようになります。

“テクノロジーのおかげで仕事が着実に効率化され、強力なツールを活用することで実現したいことをすぐに形にできるようになりました。その分、新たな取り組みにも挑戦できるようになり、とても心強く感じています。”(植木氏)



山崎監督 コメント

例えば、逃げている人たちのモーションをmocopiでキャプチャすると、そのシーンのシミュレーションがより精細にできるので、本当に助かっています。
mocopiをプリビズで活用することで登場シーンが少ない場合でもセット制作の可否を具体的に判断できます。工数の削減にも大いに貢献している印象がありますね。
自分が起こしたテキストイメージをプリビズ内でmocopiを使って表現しそれを可視化できると、みんなが撮影シチュエーションやアウトプットのイメージを共有できるのです。
VFXでの撮影では予想ができないところがあるのでプリビズが必要ですが、芝居はその場での撮影になります。プリビズの作業次第で制作コストが大きく変わるからこそプリビズはとても大事なんです。
皆が必要最低限の作業で済むようになるのも、非常にありがたいですね。

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白組について

白組は、1974年に設立された日本を代表する映像制作プロダクションです。本社は東京都世田谷区三軒茶屋に構え、東京・調布市にもスタジオを持ち、実写映像やVFX、ミニチュア制作など多彩な分野に対応しています。伝統的な手作業と最新技術を融合した“ハンドクラフト精神”を軸に、新しい映像体験を創造し続けています。