ソニーは2025年8月12日から14日まで、カナダ・バンクーバーで開催された世界最大級のCGとインタラクティブ技術の国際会議「SIGGRAPH 2025」に出展しました。
展示ブース
3DCG制作を支えるテクノロジー
- 空間再現ディスプレイ(Spatial Reality Display)
3DCGデータを裸眼で高精細にプレビューできる空間再現ディスプレイでは、来場者の興味に合わせて複数のデモをご紹介しました。Maya、Omniverse、VREDといったさまざまな3Dソフトウェアで扱うデータの裸眼立体視や、精度の高い都市のデジタルツインを3Dで体験できるデモなどを実施しました。 - XYN 空間キャプチャソリューション(開発中)
現実世界の物体や環境を短時間で3DCGアセット化できるソリューションと、それを活用するワークフロー提案に加え実際の生成データを展示しました。実際のデータは、手のひらサイズのオブジェクトからバイク、さらには大型建築物まで、多様なスケールの生成データを紹介することでシステムの汎用性を強調。さらに、実際に映画製作で活用された3DCGアセットも展示し、XYNの実践的な活用事例を紹介しました。

ステージセッション
Shaping the future of entertainment and innovation with Sony
会期中、Exhibit Hall内のプレゼンテーションスペース「THE STAGE」で、ソニーグループ主催による、「Creative Entertainment Vision」をテーマにしたセッションを実施しました。
冒頭では、未来のソニーのありたい姿を示す長期ビジョン「Creative Entertainment Vision」が紹介されました。その後、そのビジョン実現に向けた現在の取り組みの一例として、クリエイターの創造性を解き放つソリューションである、バーチャルプロダクション用モーションプラットフォームを中心としたエコシステム「PXO AKIRA」が披露されました。さらに、「PXO AKIRA」により制作中のショートフィルム(BTSティザー版)を使い、フィルム撮影の現場で活用されるソニーの様々な技術が紹介され、その中でXYN 空間キャプチャーソリューションもアセット制作に大きく貢献した技術として取り上げられました。
具体的には、あるシーンでスノーモービルをバーチャルプロダクションの背景に配置する必要がありましたが、VFX部門によるモデリングは時間的に困難でした。そこでソニーのチームがXYN空間キャプチャーソリューションを活用し実物をキャプチャーし、わずか24時間以内に高精度な3DCGアセットを生成。翌日の撮影にはUnreal Engine上でスノーモービルを配置し、スプラインアニメーションまで実装することで、撮影を滞りなく進行させることができました。
Pixomondoは「XYN空間キャプチャーソリューションは非常に速いワークフローを提供し、生成データの追加編集もほとんど不要」「撮影スケジュールを遅延させない信頼性の高いキャプチャー品質を提供する」と高く評価しました。
セッションに登壇したPixomondoのMarco Ragozzino氏、Chris Banting氏、Sony ElectronicsのSamuel Wilson Fares氏
XYN空間キャプチャーソリューションにより生成されたスノーモービルの3DCGアセット
パートナーセッション
Houdiniとの連携で広がるmocopi プロフェッショナルモードの可能性
3DCG制作ソフトウェアのHoudiniとソニーのモバイルモーションキャプチャー「mocopi®」を組み合わせたセッションも行われました。セッションではSony Electronics のXR業開発責任者Thaisa Yamamura氏がmocopiおよびmocopi プロフェッショナルモードを紹介し、続いてCG ProのDaniel Langhjelm氏がHoudiniとの接続方法を解説。さらに、mocopiをHoudini内で活用するデモンストレーションを披露しました。
セッションには複数の来場者から質問が寄せられ、非常に活発なディスカッションが展開されました。
セッションに登壇したSony ElectronicsのThaisa Yamamura氏、CG ProのDaniel Langhjelm氏
空間再現ディスプレイの活用
展示からインタラクティブ体験まで
今回のイベントではソニーブースにとどまらず、複数の展示者が空間再現ディスプレイを展示に採用しました。Emerging Technologies展示コーナーでは、東京大学と筑波大学による共同展示「Interactive Impossible Objects」で空間再現ディスプレイが採用され、エッシャーのだまし絵のような“無限に続く階段”を裸眼で立体視可能にしました。来場者は、これまで「錯視をただ見る」だけだったものを「実際に体験できるVR的体験」として楽しむことができました。
東京大学と筑波大学による共同展示「Interactive Impossible Objects」
SIGGRAPH 2025を通じ、ソニーは「空間コンテンツ生成」から「リアルタイム立体表示」までを一貫して支援するXYNの最新技術を紹介し、3DCG業界の方へエンタテインメントのみならず産業・教育・研究など多様な分野において、ソニーのソリューションが新たな価値を生み出すことを紹介いたしました。
今後もソニーは、空間コンテンツ技術の革新を通じて、3DCG制作の可能性を拡張し続けます。
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